ケン・ローチ初のラブストーリー。
邦題は「やさしくキスをして」ということで、とても甘いイメージを持たれてしまうかもしれないけど、そこは厳しい現実を優しい眼差しで描くケン・ローチ、観るものに生々しい現実を伝え、強い印象を残す。
カソリックの高校で音楽教師をするロシーンとパキスタン移民でイスラム教の慣習に縛られるカシム。宗教の壁という厳しい現実に阻まれる恋。心が痛むほど二人の気持ちが強く伝わってくる。原題はスコットランドの有名な詩にちなんでおり、劇中、ロシーンの弾くピアノで生徒が切ない詩を歌うシーンが効果的に挿入される。また宗教の壁と共に存在する差別問題についても、さり気なくビリー・ホリデイの「奇妙な果実」を挿入することで印象的な効果を残した。
これまで、イギリス労働者階級の厳しい現実を
ただただ見つめてきたケン・ローチ。
作品の終わりにいつも重いものを突き付けられた。
ここにきて作風を変えようとしているのだろうか。
実際ローチの作品としては、とてもハッピーな終幕だった。
2005年6月5日日曜日
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