2004年3月29日月曜日

温故知新 

J-WAVEの試聴イベントで、いち早くエアロスミスのニューアルバムを聴いてきた。

このところのエアロスミスはかなりポップになってしまい、はっきり言ってノーマークだったのだが、偶々聴く機会に恵まれて耳にした音は意外な音だった。

ブルースのカヴァーアルバムということもあるが、ブルージーかつ往年のロック魂を感じさせてくれる音だった。長年のキャリアを誇る彼等が今さら原点回帰ということもないだろうが、「温故知新」という言葉が似合う内容になっている。
一音目が鳴り響いた途端、それはブルースだとわかるのだが、次の瞬間には馴染みのエアロスミスの音になっている。そこには、「ネタも尽きてきたから、ちょっと古典でも齧ってみるか。」という安直な姿勢ではなく、今尚前に進み続けるバンドの姿勢が感じられた。具体的にどこにそれを感じるのか?と聞かれたら困るが、音を聴いてみればそれは自ずと分るだろう。

Honkin' on Bobo [Limited Edition]
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2004年3月23日火曜日

良い香に包まれて

転職祝いにプレゼントされた香水をつける。
香りが気持ちを落ち着かせてくれる。

気分良く仕事に向かい、気分良く人に接する。

不思議な事に、悲しい気持ちにも香水の香りはよく似合い、そんな気持ちを穏やかにしてくれるのもまたその香りだったりする。
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2004年3月14日日曜日

Anything Goes

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ブラッド・メルドー・トリオ久々の新作。「Art of The Trio」という冠が取れた。
一曲目の「Get Happy」が始まった瞬間、思わずにやけてしまった。そうきたかと。
メルドーにとっての前作はソロ名義の「Largo」。
このところ、意欲的に他ミュージシャンのアルバムに参加したり、実験作を提供したりといった感じで自分の中に貯まっているクリエイティビティを吐き出しているかのような印象を持っていた。ある意味迷いもあるのかなと。もちろん、それらの演奏も素晴らしいものではあったが。

今作はスタンダードアルバムと言っていいだろう。ここにきてその迷いを解き放ち、何か一つ抜けた感がある。純粋に音楽のもつ魅力を引き出している。
数多くの「Nearness Of You」を聴いてきた僕の耳にもメルドーのそれは、シンプルかつ繊細で美しい。Blue Noteでのライブで聴いていた「Smile」もその当時はつまらないと感じたが、改めて録音されたものを聴くと意外に面白い事に気が付いた。この形が正にメルドー・トリオの解釈なのだと。お気に入り、レディオヘッドの「Everything In Its Right Place」は、このスタンダード曲郡の中にあって少し浮いた感もあるが、やはりメルドー(トリオ)の感性に合うところがあるのだろう、複雑な曲展開にも関わらず伸び伸びとした演奏が繰り広げられる。

現時点でこれが最高の形だと納得できるアルバム。

2004年3月7日日曜日

The Joshua Tree -1987-

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Joshua Tree

U2を最も大事なロックバンドと言わしめるきっかけとなったアルバム。

「Joshua Tree」という響きから宗教的なメッセージを含んだアルバムと捉えられがちなのかもしれないが、僕は非常に「欲望」を全面に押し出したアルバムだと感じる。

この壁を打ち壊して 愛を燃焼させる
いまだに探しているものが見つからない
君がいてもいなくても僕は生きて行けない
君のために持ちこたえている
脈打つ 僕の愛

27歳のボノが、自分の欲望と理想との狭間でもがき苦しんでいる様子が伺える。ロックという音楽にとって、27歳は特別な意味をもつのだ(と勝手に考えている)。小さな島国であるアイルランドから、白旗を掲げ熱唱してきたボノやU2のメンバーが、音楽ビジネスの現実や社会の現実と自分達の理想の狭間で苦しんでいた事は間違いないだろう。皮肉にも、このアルバムを作り上げた事でU2は神格化され、アルバムの売り上げは天文学的な数字に到達した。
「ヨシュア・トゥリー・ツアー」を撮影した「魂の叫び」を観るにつけ、1990年当時、このバンドが存続していることに驚いたのを覚えている。ここまで行ったら一体どこに行くのだろうかと。
今となっては苦闘の90年代は過去となってしまったが。(90年代に入りU2が聴きやすくなったという意見をよく聞いたが、それは表層的な部分に過ぎないと思う。)

サウンド的にはダニエル・ラノアとブライアン・イーノのゴールデンタッグがさらにU2の音を進化させた。「The Unforgettable Fire」では隠りがちだったサウンドプロダクションも、音空間の広がりを保ったまま鮮明にさせることに成功している。ジャケットの写真と相俟って、アルバムのコンセプトを打ち出す事にも成功しているのではないだろうか?

このアルバムやこのアルバムで神格化されたU2を毛嫌いする人もいる。でもきちんと目を開けて耳を傾ければ、きっと感じるものがあるはずだ。

 

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