2006年12月10日日曜日

細江英公

東京都写真美術館で細江英公の写真を観てきた。

男女の裸体や土方巽の舞踏から受ける印象は生の力強さ。
人体の美しさを捉えながら、生命の力強さを表現している。
体の曲線が何故か生命力そのものを表しているような気がした。

三島由紀夫を撮影した「薔薇刑」は、彼の文学性を排除して単なる被写体として
写しているのが面白い。彼の眼力には迫力を感じる。
時代は逆になるが、いつか見たカート・コバーンの目に似ていると思った。

写真絵本というものがあって初めて読んだが、どことなく幻想的な写真が童話にマッチしていた。
今の時代においては特に目新しいことでもないが。

一見するとアバンギャルドな面が目立つが、この作家は自由な人だと感じた。
それに一貫した優しい心も感じられる。

「写真の歴史は160年ぐらいだからまだまだ若い」と語っていることからも、
今後も面白い作品を残してくれそうだ。




美術館の外壁にある写真

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2006年12月4日月曜日

ボノの言葉

「一つの価値観に縛られない日本を知った。」

ボノの言葉に気付かされると共に感動を覚えた。
最近観た「麦の穂をゆらす風」でもアイルランドのイデオロギーや宗教の対立を再認識したが、
世界を飛び回るボノにとって、現在の日本は理想郷なのかもしれない。
所得格差は開きつつあるものの、他の国に較べれば小さいものであり、一億総中流家庭と
言っても過言ではないこの国。やりたいことに挑戦できて、言論の自由もある。
世界でも稀有な平和な日本。ボノの言葉に感謝。

最近「国家の品格」という本がベストセラーになったりしているが、そういった本がベストセラーに
なることからもこの国は捨てたもんじゃないと思える。

バブルがはじけ、日本はいつの間にか経済大国という代名詞を失いつつある。
しかし、まるでその反動のように、人間が生きるための大事な何かが養われてきように思える。
一方でいじめの問題や凶悪犯罪が増加傾向にあることも事実だ。
過去の社会では存在しえなかった心の病が広がっている。
悲観することは簡単だ。人の心は弱いからこそ流される。
でも世界を見てきたボノの言葉が光を感じさせてくれるなら、それを信じたい。



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