2010年12月27日月曜日

シチリア!シチリア! トルナトーレ監督の集大成的な作品

シチリア!シチリア!

一言で現せば、人生讃歌の集大成的な映画だった。

トルナトーレ監督の想いがたくさん詰まっていて、
溢れんばかりの感情が随所に感じられた。

子供の頃はよく走った。世界はそれだけ広かった。
大人にからかわれて、嘘だと思ってもどこかそれを信じていた。
青年期の甘い思い出。
自分の想い描いた理想の自分像と、現実。
全部詰まっている。

当然、いつものごとく映画への愛を感じられるオマージュが盛り込まれ、
健全なエロティックシーン(笑)も用意されている。
だけど、何気ないシーンの美しさは挙げれば切りがない。

全体的にとてもテンポが良く、時間の長さを感じなかった。
監督の編集の巧さを感じるとともに、
今更ながら、それは映画という創作物にとって重要なファクターだと気付いた。

長く記憶に残る映画になったと思う。

2010年12月18日土曜日

Atomic Green Mill Tilter

久々にジャズの息吹を感じた。
なんだろう、この興奮。
この時代、音楽は益々ライブに重きが置かれるようになっていく。
実はオーソドックスな演奏なのかもしれないが、それがいい。


2010年7月3日土曜日

Water talks



映像は美しいけど、伝えているメッセージはシリアスな環境問題。
ただ、こういうメッセージはイベント的なものでは足りなく、
継続的かつ広範囲に成されるべきものだと思う。

I KILL MORE THAN AIDS
(私はエイズよりも多くの人を殺している。)

I KILL MORE THAN WAR
(私は戦争よりも多くの人を殺している。)

I KILL MORE THAN CANCER
(私はがんよりも多くの人を殺している。)

I KILL 15PEOPlE EVERY MINUTE
(私は1分ごとに15人の人を殺している。)

I AM THE LEADING CAUSE OF DEATH IN THE WORLD
(私は世界中で死をもたらしている。)

I AM UNSAFE DRINKING WATER
(私は安全ではない飲み水です。)


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2010年6月20日日曜日

Music is my soul.

The Rolling Stones - Exile on Main Street

今さら何の説明もいらないアルバム。
リマスター盤に未発表音源を追加した2枚組。
このアルバムは数えきれないほど聴いてきたけど、
なんでこんなに良いのだろう?
ドライブにも必携。





The John Butler Trio - April Uprising

グルーブ感が気持ちのいいスリーピースロックバンドの新作。
これはなかなかいい!
昔、Spin Doctorsというロックバンドがあって、そのメロディとグルーブが好きだったが、
それを思い起こさせてくれる。久々にSpin Doctorsも聴きたくなった。
グルーブの感じられる楽曲もいいが、Fool For Youというバラードも耳に付いて離れない。





Rufus Wainwright - All Days Are Nights: Songs for Lulu

彼の伸びやかな艶のある声はいつ聴いてもいい。
今回はピアノの弾き語りだけど、決して単調にはならず
アルバム全編通すと、演劇/映画などを観たような気分になれる。
大切な才能だ。





Jakob Dylan - Women & Country

蛙の子は蛙というが、彼もソロではフォークロック的なアプローチに。
そして前作もなかなかの佳作だと思ったが、T Bone Burnett をプロデューサーとして
迎えた本作は前作よりもさらに進歩している。
彼のぶっきらぼうな歌い方も親父さんとは違ったアプローチで、味が出てきた。





Keith Jarrett / Charlie Haden - Jasmine

キースとチャーリーという自分にとっては奇跡的な組み合わせ。
音は予想通り美しく静謐。
癒しというありきたりな言葉では表現しきれない、成熟した音楽がここにある。





Jack Johnson - To The Sea

この人の音楽は変わらない。変わらない良さがある。
シンプルだけど飽きない。これからの暑い季節にはぴったりだ。





Radiohead - In Rainbows 2

In Rainbowsのディスク2。
トムの声が楽曲に合っている。旋律が美しい。





Paul Weller - Wake Up the Nation

相変わらずどん欲なアニキ。かっこいい。
だけど、通して聴くと若干疲れるかな。

2010年6月19日土曜日

Sally Seltmann

このアーティスト気に入った!
Feistの「1 2 3 4」の作者とのこと。

2010年4月11日日曜日

杉本博司 「少年スギモトはいかにしてHiroshi Sugimotoとなったか」


U2のCDにサイン!


会社のU2ファン仲間に誘われ杉本博司さんの講演会に行ってきた。

僕は元々2005年に森美術館で開かれた展覧会「時間の終わり」で杉本さんの
モノトーンの世界に触れファンになったのだが、まさかのU2新作ジャケット採用で、
U2ファン仲間での参戦となった(笑)。

最初のニューヨークのアトリエ拡充の近況を映像で紹介してくれるくだりから、
オブジェの制作や茶室工事を指揮する姿で、彼のなんでも自分で作るスタンスが
見て取れて、人となりに気付かされることになる。

そして有名なシアターやジオラマの作品が実は博物館や映画館でのアポ無し隠し撮りに始まる
という逸話に笑わされながらも、作ることに対する情熱が伺えたし、シアターシリーズに
使われている映画が実は「サタデーナイトフィーバー」だったりするという、
あまり耳にしたくない情報には彼の遊び心が感じられた。

子供の頃の時代背景に合わせて工作少年だったエピソード、12歳ぐらいで既に焼き方にこだわる
写真家気質を持っていたという話しを聞いたが、それが62歳になる今も基本的な性質は変わっていない。
何かを作り続ける人のマインドはそういうものだと思った。

杉本さんは今後も銀塩を続けるとのこと。デジタル化はあくまでもメディア入稿のため。
プラモデルが出てきたときに、誰が作っても同じになるなんてふざけるな!と思ったそうだが、
フィルムが減っていくことはむしろ喜ばしいと語っていた。
むしろ自分が作る作品のオリジナル性に繋がると。

聞き手の鈴木芳雄さん(元ブルータス副編集長)によるこの講演のダイジェスト


おまけにU2のエピソード。
本人はビートルズ、ストーンズ世代でピンク・フロイドで止まったと言っていて、
U2をよく知らなかったが、知人に地中海に面した南仏のボノの別荘に連れられて行き、
ボノから海景シリーズのファンでこの地中海を撮って欲しいと頼まれた。
そのとき、断るつもりで「U2の文字とかアルバムタイトルを入れないのであれば」と
言ったけど、本当にその通りにするということと、リードタイトルのNo Line On The Horizonの
レコーディングに呼ばれたりして逃げられなくなったとのこと(笑)。
面白いのは、ボノと意気投合してこの取り組みはお金のやり取り無しにして、
石器時代の物々交換のようにお互いの作品を使う権利の交換にしたということだ。

このエピソードは安藤忠雄さんとの対談にも出てくる。

2010年4月3日土曜日

Brad Mehldau Highway Rider



ブラッド・メルドーが素晴らしい音楽を創り出してくれた!
このところ傾倒していたオーケストレーションが見事に昇華したアルバムだ。
オーケストラによる力強くかつ美しいメロディーが随所に散りばめられ、
それを拾うようにメルドートリオが躍動する。そしてもちろんメルドーのソロも冴え渡り、
全体を指揮しながらインプロヴィゼーションに導いていく。
ジョシュア・レッドマンも非常に良いパフォーマンスで音楽の展開に意外なエッセンスを加えてくれている。
2枚組みのアルバム全編を通して聴くと、まるで映画を観終わったかのような感覚だ。
ジャズアルバムを聴いてこんなに興奮したのは初めてだと思う。

長調と短調が折り重なるメルドーの旋律は、このアルバムで遂に完成形に近づいたような気がする。

もはやキース・ジャレットと比較することもない。
ブラッド・メルドーという音楽がこのアルバムで形作られたのだ。

2010年3月22日月曜日

FAKE BOOK 大橋トリオ

アルバムタイトルはFAKEだが、彼はホンモノだ。

まさかマイケル・ジャクソンの“HUMAN NATURE”をカヴァーするとは思わなかったし、
僕の大好きなトム・ウエイツの“Grapefruit Moon”をやってくれるとも思わなかった。
洋楽に慣れしたんだ耳にも自然と馴染む英語の発音と楽曲のアレンジは、これまでにないアーティストと感じる。
音の表面をなぞれば70年代のシンガーソングライターに近い存在かもしれないが、
きちんと耳を傾けるとさすがにモダンなセンスが散りばめられている。
選曲にも同世代としてのセンスを感じる。世代が違うと話しは異なってくるのかもしれないが。

勤めている会社に彼のお兄さんがいて、たまに仕事で関わることがあるのだけど、
メジャーデビューのタイミングで彼のプロモ盤をいただき、それで彼の音楽を知った。
日本語で聴かせる楽曲のセンスの良さと、日本人の心に染み入る音色に感動した。
フルアルバムもクオリティが高いと感心していたのだが、こういった何度も耳にしている楽曲を
自分の音として消化していることに、さらに驚いた。
身近な存在ということでお世辞を言っているわけではなく。


2010年3月14日日曜日

長谷川等伯 松林図屏風

松林図屏風(左隻)

松林図屏風(右隻)

上野 東京国立博物館 2010年3月13日

若いときは西洋美術ににしか興味がなかったけど、
年を経るにつれ、日本美術の良さを感じられるようになってきた。
長谷川等伯という名前は知っていても、これまで特に気にも留めて
さえいなかったのだが、遅ればせながら日本の歴史や文化に強く惹かれ、
いろいろと調べるうちにいつの間にかその魅力に引き寄せられていた。
一ヶ月ほどしか開かれていない展示会だったが、
友人に誘われ足を運ぶことができた。

今回展示された80点ほどの作品を見て、
長谷川等伯という人は恐らく非常に器用な人だと思った。
ほとんどの人が長谷川等伯の名前で思い浮かべる作品(松林図屏風)は
その手法の一つによるもので、実はその表現方法や絵の題材が多様性に
富んでいて、柔軟性と技術を兼ね備えていたことが伺える。

安土桃山時代から江戸時代にかけて激動の時代を生きた人だが、
この作品を見るにつけ、心の底に渦巻くものは深いものだったに違いない。


西洋画にしろ日本画にしろ平和な時期よりも、作家や庶民に影響を及ぼす社会的な
変化が起きている時期の作品に、より感情に訴えてくるものを感じる。
それは当然かもしれないが、芸術作品が大義を持ち得るのもそういう背景が
あってこそのもので、個人的な背景から創作された作品はマスターベーションに
過ぎないことも間々ある。

しかし、平和な時代に優れた作品が出ないわけではなく、それは個人的な感情に
寄り添いながらも普遍的な価値を見出せるかどうかが鍵で、
モダンアートは共感という言葉でそれが表現できるのかもしれない。

2010年2月12日金曜日

あの時の心は「かいじゅうたちのいるところ」に

かいじゅうたちのいるところ


原作となる絵本をあの絵が大好きで何度も読み返していたの で、
映画化にかなり期待を寄せていた。
でも期待を裏切られるのも恐いので、無心で観てみた。

先ず、マックスの子役がい い。
ルックスは文句無くかわいいし、暴れ方も一級品(笑)。
おねえちゃんへのプレゼントを壊しちゃうシーン、ぐっときた。
言葉 じゃ説明できないんだよなあ。
この気持ちを分ってもらいたくて破壊的な行動に出てしまう。
だけど、すぐにやってしまった事を後悔するんだ よね。
幼い頃の自分の気持ちを思い出した。。

かいじゅうたち。テレビなどで見てたので、なんだかムックやごんたみたいで
ど うなんだろうと思ってたけど、違和感なく入ってきた。
あのダイナミックなジャンプは笑えるけど印象的。

子供の頃の理屈じゃない興 味の展開(転換)、親の温もり、
そしてどこに持って行ったらよいのか分らないあの気持ち。。
いろいろと思い出して、最後はなんとなく温か い心になった。

2010年2月11日木曜日

奇想天外、ギリアム節炸裂!

Dr.パルナサスの鏡(ネタばれあり)

さんざんCMが流れていたのでギリアム作品としてどうなんだろう?
という危惧があったが、そんな心配は関係なかった。

いつものギリアム節が炸裂、脳みそをぐわ~んとよじってくれる作品。
この類の映画を久々に観た気がする。

鏡の中は博士の脳(というか精神?)の世界で、人それぞれの世界が
立ち現われるという設定。その自由な発想で作られる映像に
クリエイティビティをびしばし刺激された。
ちょっとおふざけも入ってるような気がしたが、そこは遊び心としておこう。

■出演者について
トム・ウェイツの悪魔、本人そのままだけど最高!
ヴァレンティナ役のリリー・コール、キュートで可愛かった。
ヒース、ジョニー、ジュード、コリンは言うまでもなく良かった。

テーマは人間の欲望。
古典的な話しではあるが、こういう映画は作られる意義がある。

2010年2月3日水曜日

Corinne Bailey Rae The Sea

コリーヌ・ベイリー・レイのニューアルバムはとてもエモーショナルだ。
キュートだけどどこか達観したような声と70年代ロックのタフな部分を
抜き出したような演奏が意外にマッチして心地良い。



2010年1月31日日曜日

Beck × Charlotte Gainsbourg

ベックのやることはいちいちイカしてる。
こっちが予想しないことをやってくれるのがニクイ。

シャルロットは自分の中では少女の頃のキュートなイメージのままだったけど、同世代のアラフォーになってるわけだね。
ベックもアラフォー。

同世代の人たち、みんな頑張ってるな。


2010年1月30日土曜日

Brad Mehldau 始動!

久々のブラッド・メルドー。
しばらくトリオでのスタンダード演奏が続いてたから、
新しい音へのチャレンジは聴く側にとっても良いタイミングだ。
どんな音楽を作ってくれるか楽しみ。


2010年1月16日土曜日

Voice Band for iPhone

iPhoneのアプリ、「Voice Band」が面白い。
楽器を選んだら自分の声でメロディー録音し、
それを重ねることで簡単に楽曲が出来てしまう!

手探りで適当に録音した音源がこれ



ちなみに自分の声で歌も録音可能。
かなりふざけてやったけど、その割には少しだけ形になってる(笑)。

アプリの公式サイトに開発者と思われる兄ちゃんのデモ映像があるけど、
客観的に見るとかなり間抜けではある(笑)。
でも出来上がりはこのiPhoneで6分程度で作ったものとは思えない!


自由度が高くていろいろ遊べそう。

2010年1月11日月曜日

れんげ庵、復活

1月6日に装いも新たにれんげ庵が復活。
当然ながらメニューは変わってしまった。。
味は決して悪くないものの、以前に較べると平凡な印象は拭えない。

顔見知りになったオーナーの女将さんは残っていて、
「期待に副えなかったらごめんなさい」としきりに言ってくれたので、
今後の改善に期待したい。
 

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