2010年3月14日日曜日

長谷川等伯 松林図屏風

松林図屏風(左隻)

松林図屏風(右隻)

上野 東京国立博物館 2010年3月13日

若いときは西洋美術ににしか興味がなかったけど、
年を経るにつれ、日本美術の良さを感じられるようになってきた。
長谷川等伯という名前は知っていても、これまで特に気にも留めて
さえいなかったのだが、遅ればせながら日本の歴史や文化に強く惹かれ、
いろいろと調べるうちにいつの間にかその魅力に引き寄せられていた。
一ヶ月ほどしか開かれていない展示会だったが、
友人に誘われ足を運ぶことができた。

今回展示された80点ほどの作品を見て、
長谷川等伯という人は恐らく非常に器用な人だと思った。
ほとんどの人が長谷川等伯の名前で思い浮かべる作品(松林図屏風)は
その手法の一つによるもので、実はその表現方法や絵の題材が多様性に
富んでいて、柔軟性と技術を兼ね備えていたことが伺える。

安土桃山時代から江戸時代にかけて激動の時代を生きた人だが、
この作品を見るにつけ、心の底に渦巻くものは深いものだったに違いない。


西洋画にしろ日本画にしろ平和な時期よりも、作家や庶民に影響を及ぼす社会的な
変化が起きている時期の作品に、より感情に訴えてくるものを感じる。
それは当然かもしれないが、芸術作品が大義を持ち得るのもそういう背景が
あってこそのもので、個人的な背景から創作された作品はマスターベーションに
過ぎないことも間々ある。

しかし、平和な時代に優れた作品が出ないわけではなく、それは個人的な感情に
寄り添いながらも普遍的な価値を見出せるかどうかが鍵で、
モダンアートは共感という言葉でそれが表現できるのかもしれない。

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