2004年3月7日日曜日

The Joshua Tree -1987-

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Joshua Tree

U2を最も大事なロックバンドと言わしめるきっかけとなったアルバム。

「Joshua Tree」という響きから宗教的なメッセージを含んだアルバムと捉えられがちなのかもしれないが、僕は非常に「欲望」を全面に押し出したアルバムだと感じる。

この壁を打ち壊して 愛を燃焼させる
いまだに探しているものが見つからない
君がいてもいなくても僕は生きて行けない
君のために持ちこたえている
脈打つ 僕の愛

27歳のボノが、自分の欲望と理想との狭間でもがき苦しんでいる様子が伺える。ロックという音楽にとって、27歳は特別な意味をもつのだ(と勝手に考えている)。小さな島国であるアイルランドから、白旗を掲げ熱唱してきたボノやU2のメンバーが、音楽ビジネスの現実や社会の現実と自分達の理想の狭間で苦しんでいた事は間違いないだろう。皮肉にも、このアルバムを作り上げた事でU2は神格化され、アルバムの売り上げは天文学的な数字に到達した。
「ヨシュア・トゥリー・ツアー」を撮影した「魂の叫び」を観るにつけ、1990年当時、このバンドが存続していることに驚いたのを覚えている。ここまで行ったら一体どこに行くのだろうかと。
今となっては苦闘の90年代は過去となってしまったが。(90年代に入りU2が聴きやすくなったという意見をよく聞いたが、それは表層的な部分に過ぎないと思う。)

サウンド的にはダニエル・ラノアとブライアン・イーノのゴールデンタッグがさらにU2の音を進化させた。「The Unforgettable Fire」では隠りがちだったサウンドプロダクションも、音空間の広がりを保ったまま鮮明にさせることに成功している。ジャケットの写真と相俟って、アルバムのコンセプトを打ち出す事にも成功しているのではないだろうか?

このアルバムやこのアルバムで神格化されたU2を毛嫌いする人もいる。でもきちんと目を開けて耳を傾ければ、きっと感じるものがあるはずだ。

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