2004年6月29日火曜日

11分間の巡礼

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11分間 パウロ・コエーリョ

巷ではセックスについて書かれたということが大きく取り上げられている。偏見を持つとその魅力が失われるような気がして、僕は偏見を極力排除して読んでみた。

「11分間」という象徴的なタイトルからも想像できるが、この本の中でセックス(性欲)はある意味取るに足らぬ事として描かれている。マリーアは愛に飢え、愛のないセックスに当然のことながら何の価値を見い出す事も出来ない。だけど、二つの大きな経験をすることにより、この物語は展開しはじめる。この二つは相反しながらもマリーアの内面を曝け出すという同じ性質を持ち、マリーアは弱さを曝け出すことにより、自分の心を見つめることができ、愛に気づいていく。。。
コエーリョの処女作「星の巡礼」を読んだあと、これは彼の一貫したメッセージ(思想・信念)なのだと思った。主人公が巡礼の中でRAMの実習というものを行うのだけど、この宗教的な行為を通して心を曝け出し自分の弱さを見つめることにより精神的な成長を遂げていく。

デリケートな部分を扱った作品だけど、二作品に共通しているのは、精神的な力を身につけることで、その先の人生に何かしら幸福をもたらす事ができるというメッセージだ。

精神的に生きるには何かと障害のある実社会だけど、パウロ・コエーリョの本は読んだあとに、何かしら力を与えてくれる。同時代にこんな作家がいることに感謝したい。

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