2004年8月31日火曜日
ゴーゴリ
その名にちなんで ジュンパ・ラヒリ
決して軽い気持ちで付けられた名前ではなかった。
でもその名前によって生き方を翻弄された青年。
名前を付けた父には深い思い入れがあった。
静かに優しく、だけど冷静に見つめるまなざし。ジュンパ・ラヒリの文章にはそんな印象を受ける。風景を淡々と描写することによって心情のひだを少しずつ浮き上がらせていく。
ベンガル人であるというアイデンティティからか、主人公は大抵インド人ということになるが、やはりアメリカで暮らしながらもルーツを外にもつ。直接的な表現はなくとも、物語りの終盤にはいつの間にか様々な思いを感じずにはいられない展開には、巧いとしか言い様がない。
情景の描写を積み重ねていく事で、人物の心情を描き、登場人物ひとりひとりが活き活きと浮かび上がってくる。本を読み終わったあとでは、ここに登場するゴーゴリやアシマやアショケが、まるで自分のすぐ近くにいる存在に感じられた。
自分の根っこはどこにあるのか?
どこへ向かうべきなのか?
改めてそんな思いを抱いてしまった。
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