2004年9月5日日曜日

自由が燃える温度

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華氏911

アメリカという国の病的な部分をくっきりと浮かび上がらせ、
弱者の視線から状況を見つめ、真実を浮き彫りにしていくあたり、
マイケル・ムーアの真骨頂が発揮された映画だった。

ブッシュ大統領に焦点をあてて、9.11とそれ以降の政治背景を
どんどん解きあかしていくのだけど、そのテンポの良さに時折
ユーモアも交えることによって、一種のエンターテイメント映画
としての体裁も整えている。ムーアという人、その太っちょの体で
人を油断させておいてしっかりと心を掴むあたり、心憎い。(笑)

基本的には前作のボーリング・フォー・コロンバインと同様の形式を
取っているけど、今作はテーマがより重いためか、前作のような
ポップな表現は少し影を潜めている。アメリカ兵が攻撃を仕掛ける際に
聴いているというロックをBGMに持ってくるシーンは、頭の堅い連中には
好戦的なものと捉えられてしまうのかもしれないが、個人的にあれほど
痛々しいシーンはなかった。つまり強力な皮肉であるということ。

現在に近付けば近付くほど、アメリカのやり方の矛盾が目立ち出し、
イラクで戦っている兵士達の病んだ心が画面に映し出されていく。
これはベトナム戦争の繰り返しじゃないか!そう感じたのは僕だけだろうか?

最後はムーアの強い想いを込めた一言で締めくくられ、後ろでパラパラと拍手が起こった。
少しでも物事を掘り下げて考えている人達なら、なんとなく感じていたであろう事を
明確にしてくれる映画だ。ジャーナリズムの金字塔と言っても差し支えないのでは。

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