2005年7月27日水曜日

台風の夜にボサノバを

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Paula and Jaques Morelenbaum



世間は台風にも関わらず(世間は関係ないが)、ブルーノートに足を運んだ。
つい先日はNYのブルーノートに行ってきたことを考えると、なんとも贅沢な話だ。
さて、今夜の主役はパウラとジャケスのモレレンバウム夫妻。
アントニオ・カルロス・ジョビンのバンドで10年間積み上げてきた実績と、
4年前の坂本龍一との共演で、日本でも知られた顔だ。確かCMでも見かけた。


坂本龍一との共演の際は、赤坂ACTシアター(今でもあるのだろうか?)に
足を運んだが、なんと開演30分前の近くのタリーズで当人達に出くわした。
可愛い娘さんを連れてリラックスした風情で、これからステージに上がることなんて
微塵も感じさせなかった。音楽自体もとてもリラックスしたものだったけど。


そんな事を思い出しつつ、エールビールを飲みながら対面した演奏は、
そんなイメージや期待を良い意味で裏切ってくれた。
坂本教授とのアコースティックな共演とは裏腹に、確信的にモダンな演奏だった。
パウラの持つ伸びやかなボーカルがとてもマッチしたリズムと、曲に彩りを加えるキーボード。
そして、ジャケスはエレキチェロを抱え、意外なほどにアグレッシブな演奏を聴かせてくれた。
実際、ドラムとの掛け合いは非常にエキサイティングで、とてもクールだった。
パウラの印象的なリズムの取り方(踊り?)も頭から離れない(笑)。

「東京に来れてとてもエキサイティングなの。だって初めて地震に遭ったから!(笑)」
「地震や台風が一度に味わえて本当に東京に来れて良かったわ!(笑)」
「オリジナルカクテルは楽しんでる?みなさんに配って!私にはビールを!」




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東京のブルーノートでは店内自体の撮影を止められた(怒)ので、NYのブルーノートを。
誰も上がっていない無人のステージぐらい撮らせてくれても良いと思うのだが。
NYの方が狭くて、ジャズを聴くには良い場所だと思う。

2005年7月25日月曜日

決してあまくない物語 ミリオンダラーベイビー

映画を観たい人はどうか読まないでください
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この映画を観終わった時、砂漠に一人放り出されたような気持ちになった。
クリント・イーストウッドは、弱者や問題を抱えている人々に暖かい眼差しを向けながらも、
厳しい現実を有りのまま、なんの迷いもなく提示する。
受け手である映画の観客は、目をそらさずこれを正面から受止めるべきだろう。


23年間、自分が背負った罪を購うために教会に通うボクシングのトレーナー、フランキー。
絶縁状態の娘と、過去に自分がそのボクサー生命を奪ってしまったジムの雑用係への想いが、
偶々出会った娘のような存在のマギーの悲劇的な結末を、一層悲劇的なものとする。
登場人物は皆、救いようのない過去や未来を背負っている。


劇中いくつも印象的な言葉が発せられる。内容もさることながら、
これだけ全てにおいて深く感動的な映画はそうそう見当たらない。
「誰でも一度は負ける」
「一つルールがある。自分を守れ。」
「モ・クシュラ」等々
フランキー(クリント・イーストウッド)とスクラップ(モーガン・フリーマン)の
いぶし銀の会話は、二人の間にある複雑な想いをひしひしと伝えてくれた。
なんと味のある二人であることか。あんな渋みを出せるぐらい深く生きたいものだ。


フランキーとマギーが惹かれていく様は、これが映画であって観客として観ているのではなく、
単なる日常の目撃者であると錯覚してしてまうほど極々自然に描かれている。
奇を衒った表現などなく、だからこそ観客は最後に深い感動に包まれる。
ボクシングジムでの光と影の描写は、登場人物の心情やそれぞれが
置かれた状況のメタファーとして、とても素晴らしいと思った。


「モ・クシュラ」(ゲール語)は、物語のキーワードとしてクライマックスの瞬間まで
その意味が語られない。

「愛する人よ。あなたは私の血だ。」

あまりに美しく悲しい言葉に、ここ最近にない心の震えを感じた。
マギー(ヒラリー・スワンク)の演技も、最初から最後まで、二人の名優に
負けないぐらい素晴らしかった。どこまでも救いのない物語のなかで、彼女の笑顔は救いだ。

クレジットを観ていると、音楽担当にクリント・イーストウッドの名前があった。
シンプルで美しい旋律が、物語にマッチしていてセンスの良さを感じさせる。


2005年7月18日月曜日

サービスの在り方-Docomoの場合

今の会社に入って初めて有休を重ねて連休を取った。
NYに行くためで、それなりにお金と準備に時間をかけた個人的には大きなイベントである。

日本を発つ前に成田でDocomoの海外用携帯をレンタルしたのだが、
現地に着いて電源を入れたところ、圏外表示のまま一向に繋がらなかった。
下記のように、ニュースにもなった話。

米国本土、ハワイなどで国際ローミングに障害(impress Watch)

しかし、障害が発生したことなど知る由もなく、現地の知り合いとの連絡や
ジャズクラブの予約などに手を焼いた。
さらには、公衆電話からドコモの連絡先に電話が繋がらず、ホテル備え付けの電話から
連絡を付けることになった。2、3分の会話で22$(2600円)である。

どうだろう?この状況。旅を快適に楽しむためにレンタルで携帯を借りたのだ。
それが、時間を浪費した上に余計な出費。
障害が発生するのは仕方がないにしても、電話での応対も「待つしかない。
いつ使えるかは分からない。」怒りが込み上げた。
僕はあまり怒ったりしない方だけど、この怠慢なサービスには本当に頭に来た。
一般のサラリーマンや日本人の多くにとって、海外旅行はそれなりに大きなイベントで
あるはずだ。サービスを提供する側はもっときちんと対応するべきじゃないだろうか?

普段サービスを提供する側として働く身として、いろいろと考え直す機会にも
なったが、No1という変な奢りだけは持たぬようにしたいものだ。
ブランドは自分が創り上げたわけではなく、元からあったものだから。

2005年7月10日日曜日

MAROON5 ソウル+ロック+ポップス?

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Maroon5 Songs About Jane


最近お気に入りのヘヴィローテーションアルバム。
気に入ったとしても、めったに人には薦めたりしないのだけど、
このMAROON5については例外、ぜひ聴いてみてください。

スティービー・ワンダーを想起させるボーカル、ファンキーなカッティングギター、
ファンキーなリズム隊、ジャジーなピアノ、そこの乗るのはポップなメロディ。
奇を衒ったわざとらしさはなく、自然体で様々なジャンルの音をミックスできている。
心地良いBGMにもなり得るし、真摯に音に向き合うこともできる不思議な音楽。

ラジオでも頻繁に耳にしたThis Love、CMに使われているSunday Morning、
このあたりの曲は、一聴しただけで幸せな気持ちになれる良質なソウルフルポップ、
Harder to BreathNot Coming Homeはファンキーヘヴィロック、
She Will Be LovedSweetest Goodbyeは純粋なポップス。
ミクスチャーロックと呼べないこともないけど、良質な大人のソウルポップスかな。

こちらでPVが観れます。

 

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