2006年3月26日日曜日

ホテル・ルワンダ

決して楽しむための映画じゃないけど、観られるべき映画なのだと思った。

ルワンダでのツチ族とフツ族の抗争は報道を通じて知っていた。
その大虐殺に衝撃を受けたことも覚えている。しかしそれは
遠いアフリカの出来事に過ぎず、なぜそこまでの虐殺に発展してしまったのか
頭の片隅に疑念はよぎってもそれを深く追うことはしなかった。
この映画を観ることで報道で断片的にしか分からなかったことが
大分鮮明になり、その背景を知ることができた。

構造的にはイスラエル・パレスチナ問題に似ていて、西洋の驕った介入や
利益追求により、元々様々な民族が混在して生活していた土地に
民族アイデンティティが注入され、紛争に発展してしまったのだ。
憎しみが憎しみを生む構造に、やるせなさを感じてしまう。

主人公であるポール・ルセサバギナが、ツチ族である自分の妻や家族を救うために
意図せずに他の住民も匿っていくくだりは非常にリアルで説得力があり、
その後元々ホテルの支配人としても有能な彼が、罪の無い人々を救うために
葛藤していくくだりも、死と隣り合わせの状況下に置かれた人間の現実を切々と伝えてきた。
極限の状況下でも人は尊厳を保てるのだという勇気も与えられる。

今この瞬間の日本において、これは遠い国の話であるわけだけど、
この事実を直視して知っておくことが未来に繋がるのだと思う。


エンディングでWyclef Jeanが歌う「Million Voices」が心にずしんときた。




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2006年3月3日金曜日

閑のある生き方

「閑」という状態に身を置くときだけ、人は全体としての自分を取り戻す。


中野孝次の言葉だ。
身にしみてそう思う。

物欲や自己顕示欲に溢れている日常の中に身をおいていると、
いつの間にか「閑」に身を置くことから遠ざかってしまっている。

少し前まで、
もう少しゆっくり生きていたような気がする。
日々何かを感じる余裕をもっていたような気がする。

気付くことで、まだ救われているのかもしれない。

 

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