2004年8月31日火曜日

ゴーゴリ

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その名にちなんで ジュンパ・ラヒリ

決して軽い気持ちで付けられた名前ではなかった。
でもその名前によって生き方を翻弄された青年。
名前を付けた父には深い思い入れがあった。

静かに優しく、だけど冷静に見つめるまなざし。ジュンパ・ラヒリの文章にはそんな印象を受ける。風景を淡々と描写することによって心情のひだを少しずつ浮き上がらせていく。
ベンガル人であるというアイデンティティからか、主人公は大抵インド人ということになるが、やはりアメリカで暮らしながらもルーツを外にもつ。直接的な表現はなくとも、物語りの終盤にはいつの間にか様々な思いを感じずにはいられない展開には、巧いとしか言い様がない。

情景の描写を積み重ねていく事で、人物の心情を描き、登場人物ひとりひとりが活き活きと浮かび上がってくる。本を読み終わったあとでは、ここに登場するゴーゴリやアシマやアショケが、まるで自分のすぐ近くにいる存在に感じられた。

自分の根っこはどこにあるのか?
どこへ向かうべきなのか?
改めてそんな思いを抱いてしまった。

2004年8月29日日曜日

Dialogue in the Dark

1989年にドイツのハイネッケ博士によって考案されたDialogue in the Darkというワークショップに行ってきた。

人工的に作られた暗闇の中、森や草原、駅、バーといったステージを視覚障害者に引率されながら進んで行くという否日常的な感覚を体験できる。

僕の場合、暗闇に侵入した瞬間が特に印象的だった。一瞬にして五感が研ぎすまされ、植物の匂いが鼻をつき、水の音が耳に入ってきた。それと面白かったのが、暗闇では健常者(参加者)と引率してくれる視覚障害者の立場が逆転すること。まったくの暗闇の中で、「間を通ります」と言って進んで行くのだからびっくりだ。10人ほどの参加者はお互いの声を頼りに心もとない様子だというのに。

人によって感じるところは様々だと思うけど、このワークショップを通して視覚障害者に対する意識やコミュニケーションの大切さが見直されると思うし、僕のような少しでも芸術志向をもっている者にとっては、五感を磨いておくことの大切さを見直す機会となった。

2004年8月15日日曜日

水出しコーヒー

この週末、軽井沢デビューを果した。
ブルジョア的な避暑が目的ではなく、会社の人に聞いた水出しコーヒーが飲んでみたい、そのついでに軽井沢を見てみようじゃないかという気持ちだった。
コーヒーを飲むために軽井沢まで出向くという、ある意味贅沢な旅行だったけど。

さて、軽井沢に着いたその足で向かった「丹念亭」という有名な老舗で、一杯目の水出しコーヒーを味わった。言われたほどびっくりするような味ではなかったけど、アイスコーヒーであれだけの味を味わった事はなかった。苦味と酸味のバランスがほどよく、しっかりとしたコクがあった。ちなみにチョコレートケーキも名物らしく、生クリームをのせて冷やされたそれはコーヒーによくあっていた。

もう一件、こちらはガイドに載っていた店で「然林庵」。地図が間違っていて店を見つけるのに苦労したが、それだけの甲斐はあった。観光地の喧噪から離れた林の中にあり、個人的にはあまり人に教えたくない店になった。僕の感想ではこちらの店の水出しコーヒーの方が数段うまかった。お代りしてもよいぐらいに。サンドイッチやポークシチューも注文し、二杯目にオリジナルブレンドも飲んでみたが、それも納得のいく味で、今後軽井沢に行った際には毎回訪れる店になるだろうと確信した。

しばらくは水出しコーヒーにはまりそう。(笑)

DREAMERS

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ベルトルッチの、ヌーベルヴァーグやハリウッド黄金時代へのオマージュ的な作品だと思った。

時代は60年代後半のフランス、大人になりきれない双児の男女、どこかナイーブなアメリカ人の留学生。その設定だけで大体想像できてしまうじゃないか!

ジャン・ピエール・レオー本人のシンクロなど映画の引用はもちろん、僕の好きな「はなればなれに」(ゴダール)のルーブル美術館を走り抜けるシーンの再現には嬉しくなった。BGMもジミ・ヘンドリックス、ドアーズ、ボブ・ディラン等、そこら辺が好きな人にはたまらないだろう。

ストーリーを楽しむというよりは、仕掛けられた監督の趣味を楽しむ映画かな。僕はラストに納得がいかなかったけど、結構楽しめた。

2004年8月6日金曜日

make your work !

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自分の仕事をつくる

会社で働くのが当たり前と考えている人達に一度読んでもらいたい本だ。
つまり会社人間に陥り、仕事に不満を抱いている人達に。
この本の仕事に対する考え方において、僕は非常にしきりに共感を覚える。
仕事は創造的なもの。それに気付くか気付かないかで、仕事の成果や
仕事に対する姿勢が変わってくるんだろうな。

仕事をやる上で理論に陥り過ぎないことが大事だ。
結局は自分のため人のための仕事であって、仕事それ自体が目的じゃあない。
共感を覚える事ができて、楽しく読めた。

 

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