2004年11月7日日曜日

zooropa -1993-

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Zooropa


1000万枚ものCDを売り上げてきたミュージシャンとしては、このアルバムは唐突に発表された。プロモーションはほとんどなく、いつの間にかCD屋に並んでいたという感じだ。ジャケットデザインにしろ、最終曲がボノの声ではなくジョニー・キャッシュの声で歌われ、最後には警告音のようなものが収録されている点など、人を喰ったような印象も受ける。

発売当時、何か凄く裏切られてしまったような印象を受けたのを覚えている。前作「Achtung Baby」で一つ金字塔を打ち立てたはずのU2が、もはや道を見失って路頭に迷っているのかとも感じた。それを裏付けるかのように、確かにその頃のズーロッパツアーでのボノの振る舞いは奇異だった。マックフィストと称して頭に角を付け、白塗りの化粧で現れ、悪魔を演じてみたり。そもそも前作「Achtung Baby」はその前作「Joshua Tree」で、ファンやマスコミによって神格化されてしまった自分達の立ち位置を、しっかりと見つめ直すために、U2の“ポップミュージック”を具現化したものだった(と思っている)。その葛藤の中で、精神的にはかなり追い込まれていたのだろう。

このアルバムから流れ出てくる音楽には、焦燥感、癒し、滑稽感、愛といったものが含まれている。混沌とした音の洪水の中でそれらが絡み合って、不思議な安堵感のようなものを生み出している。

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